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5月22日(ブルームバーグ):格付け会社フィッチ・レーティングスは日本のソブリン信用格付けを引き下げた。公的債務圧縮に向けた進展の遅さを指摘した。
フィッチは日本の長期格付けを「A+」に引き下げた。見通しはネガティブ(弱含み)。自国通貨建ては「AA-」から1段階、外貨建ては「AA」から2段階引き下げた。日本の公的債務比率の高水準および上昇傾向によるソブリン信用力へのリスク増大を指摘した。 政府は1月に、2020会計年度までに財政収支を均衡させる目標について、提案されている消費税引き上げが実現しても達成が難しいとの見通しを示していた。アール・ビー・エス証券の西岡純子チーフエコノミストは、日本の政治と、財政健全化の歩みの遅さに対する警鐘だと指摘した。現在の膠着した政情では消費税引き上げ法案の通過がおぼつかないと述べた。 フィッチのアジア太平洋地域ソブリン・チーム責任者、アンドルー・カフーン氏は「日本の財政健全化計画は、困難な財政状況にある他の高所得国と比較しても切迫感に欠けると思われるうえに、計画の遂行には政治リスクが伴う」と指摘した。 フィッチの「A+」は最上級から5番目。ムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は日本を最上級から4番目に格付けしている。S&Pは現在格付けを見直し中。 安住淳財務相は記者団に、格付けについてコメントしたくないと述べた上で、政府は財政健全化に向けた税制・社会保障制度見直しを推進すると付け加えた。 経済協力開発機構(OECD)はこの日公表した報告で、消費税引き上げが日本の最優先課題であり、財政の均衡を図り、公的債務を削減することが不可欠だと指摘した。野田内閣は、消費税率を「2014年4月に8%、15年10月に10%」へと2段階で引き上げることを目指している。 財務省幹部は格下げについて、日本は財政再建ちゃんとやるべきだとのメッセージと受け取るべきだと述べた。 更新日時: 2012/05/22 22:20 JST
[東京 22日 ロイター] フィッチ・レーティングスは、日本の長期外貨および自国通貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を、それぞれAAおよびAAマイナスからAプラスに引き下げた。見通しはネガティブ。
日本の上限をAAAからAAプラスに引き下げた。短期外貨建てIDRはF1プラスを確認した。 市場関係者の見方は以下の通り。 ●円安反応は持続せず <モルガン・スタンレー(ロンドン)欧州為替戦略部門、イアン・スタンナード代表> 市場は当初、円安に反応したが、これが持続するとは思わない。円は引き続き強いだろう。 日本国債市場で外国勢の参加は少なく、為替市場にフローの点で大きく影響する可能性は低い。日本の投資家は相対利回りに非常に敏感だ。利回り格差の動きがあれば、日本へのリパトリのフローになる可能性がある。日本の投資家にとって、海外ではなく国内投資が魅力的になるだろう。 このような低利回り環境では、投資決定の変更をうながすような動きにはならない。 ●財政・政治状況から意外感なし <三菱東京UFJ銀行(ロンドン)欧州為替リサーチ部門代表、デレク・ハルペニー氏> 政治的な不作為や比較的弱い成長、消費税引き上げをめぐる動きや財政見通しからみて、格下げに意外感はない。 円はやや売られたが、これまでも日本の格下げによる円売りは持続しなかった。過去の例からみても、一段の円売りは買いの好機となるとみられる。 現在は明日の欧州連合(EU)非公式首脳会議を控えて小康状態だが、欧州情勢の悪化により円は上昇する可能性がある。 2012年 05月 22日 20:21 JST
[ワシントン 21日 ロイター] 安住淳財務相は21日、国際通貨金融委員会(IMFC)での声明で、日本経済は緩やかに回復し、今年度は実質2.2%の経済成長を達成すると見込んでいるとする一方、急激な円高の再来や欧州政府債務危機の再燃による海外景気の下振れ、高止まりする原油価格の動向といったリスクに十分警戒していると語った。
また震災からの復興に続く課題として財政健全化を挙げ、社会保障と税の一体改革を着実に進めていく中で、G20トロント・サミットでコミットした、基礎的財政収支の赤字対GDP比を2010年度比で2015年度に半減し、2020年度には黒字化するという目標を達成できる財政構造を作り上げていくと語った。 世界経済については明るい兆しもみられるとしながらも、「ユーロ圏の一部の国で国債金利が再び上昇傾向にあるなど、欧州政府債務問題を中心に大きな下方リスクが引き続き存在している」と指摘。各国の政策担当者は、現状に甘んじることなく、これまでの取り組みにより確保された時間を無駄にせずに、将来の危機を未然に回避できる強靭な経済、財政、金融システムの構築に取り組むべきだと語った。 2012年 04月 22日 11:19 JST
[東京 11日 ロイター] 安住淳財務相は11日、ロイターなどのインタビューに応じ、月内の追加緩和観測が強まっている金融政策に関連して、日銀のデフレ脱却に向けた強い意志を指摘し、適時適切に対応してくれると思うと追加緩和に期待を示した。
また政府・日銀一体となって、「デフレ脱却の出口が見える1年、その前半にしたい」とし、今年度予算の執行が始まる4月を重要な月と位置付け、この好機をとらえ政府・日銀でデフレ脱却を後押しする考えを強調した。 日銀法改正や政府・日銀間の政策協定(アコード)の是非については、現行法で十分意思疎通は可能とし、性急な日銀法改正論に慎重な見方を示した。 一方、1カ月ぶりに1ドル80円台を付けるなど円高が再燃していることには「重大な関心を持ち、日々ウオッチしている」としながらも、日々の動きに一喜一憂しない考えを強調。「トレンドをみて対応していきたい」と語った。 インタビューの概要は以下の通り。 ──月内の追加緩和観測が高まっている。金融政策への期待は。 「昨日の白川総裁会見では、2月14日に決めた10兆円の緩和策が、現実にどういう風にデフレ脱却に向けて政策効果があったかについて様々なデータを分析し、今月末までにそれをベースにまた協議するとの結論だった。(事実上のゴールとして)消費者物価上昇率1%めどを明確に打ち出し、その目的に向って経済が動いているかを、この2、3週間かけて様々なデータを集めて分析すると言っている。これは、いままでの「理解」とは違う。デフレ脱却への強い意志は会見からも十分伝わった。日銀が(政策を)出し渋っているということではない。デフレ脱却、経済活性化に有効であるかについて見極めていただいて、月末の会合に臨んでいただければと思う」 ──与党内には、政府・日銀間の協定(アコード)を求める声もある。 「現状のなかで、日銀とは十分なコミュニケーションをとり対応していくことを基本としたほうが良い。法改正などいろいろな動きが出ているが、日銀の独立性もある。日銀も野田佳彦首相始め、財政当局と緊密な連絡を取り合っている。政治の側から動きがあるのは認識しているが、現行法のなかで十分対応できる」 「国会にはいろいろな意見がある。国会での意思も踏まえて、日銀は2月14日に思い切った金融緩和措置をとった。方向性や認識において日銀総裁の意見は、われわれと大きくかい離したものではない。適時適切に対応してくれると思っている」 「あえて法律改正したり日銀を縛ることをしなくても、十分意志疎通は出来る」 ──政府の国家戦略会議でデフレ脱却に向けた閣僚会合が設置された。政府のデフレ脱却に向けた方策は。 「4月は、前半の(経済の)流れを決定付ける重要な月になる。日本経済の実態は悪いわけではない。復興需要も本格化してきた。予算も成立した。財政出動も伴ってくるので、企業収益の改善は十分見込まれる。デフレ脱却のための関係閣僚を中心としたチーム設置も、デフレ脱却を加速させること。財政・金融面で日銀と一体となって、デフレ脱却の出口が見える1年、その前半にしたい」 「日本経済全体が動き出す好機だ。この好機をとらえて、本予算が出てきているので、さらに弾みをつける何かをしなければならないということで国家戦略のなかで作戦を考えようということだ」 ──日銀がゴールとする消費者物価上昇率1%達成時期の見通しは。 「昨年は前半に東日本大震災があり、後半はタイの洪水、欧州危機など重層的危機(の年)だった。今年は、日本経済だけをみれば、昨年の挽回ができる環境は財政面でも整えたつもりだ。日銀も強い意志をもって態度を示したと確信している。早い段階での達成も見込めるのではないか。為替や原油高など、外的要因があるので注意は必要だが、日本のファンダメンタルズは悪くない。期待している」 ──円高が再燃し、1カ月ぶりに1ドル80円台で推移している。 「為替については重大な関心を持ち日々ウオッチしている。ただ、日々そのことで、悲観したり楽観はしない。トレンドをみて対応していきたい。もちろん、日本経済に与える為替の影響は十分認識している。私だけに限らず、日本銀行も十分な関心をもってみていると思う」 「日々の動きにコメントすることは控える」 ──IMF資金基盤強化について。20日ワシントンで開催されるG20までに対応決定する考えは。 「欧州のファイアーウオールの評価はいろいろある。私としても100%満足かと言われれば、さらに努力が必要ではないかとの気持ちは持っているし、欧州側にはそれを伝えている。しかし、一定の前進をみたのは明らかだ。スペインの問題が出てきているので注意深い監視は必要だが、(IMF拠出については)今週に入って、どういう対応をしていくか、関係国と、実務的な、またハイレベルな立場で具体的に協議に入るつもりだ」 「できればワシントンの会議までに、中国はじめ関係国と十分な協議をしたのちに日本の立場を表明できればよいと思っている。現時点で、ワシントンでどういう対応をするかは決まっていないが、本格的な調整には入りたい」 ──消費増税法案の審議入り時期は。 「谷垣自民党総裁、山口公明党代表からも早期の審議入りを求める声が出ていた。近々、総理を始め、党の幹部で協議していただき、今月中の審議入りを是非実現させてもらいたい」 ──消費増税法案の通常国会での成立のめどについて。 「あの難しい郵政法案も政党間協議で成立の方向が見えてきた。きょうの党首討論をみても、当面10%(への引き上げ)は谷垣自民党総裁も認めていた。山口公明党代表も消費税については全く否定していない。コンセンサスを作る十分な環境は整っている。4月に審議入りすれば審議時間は十分確保できる。私は結論(成立)を得られると確信している」 ──話し合い解散の是非は。 「話し合って解散した例は、日本の政治史上あまりない」 「政策論としては、消費税の問題は、社会保障にリンクするが、国際社会も注目していて、日本の国債市場にも関係する非常に重要で重い話だ。政局をからめてすべきでない。まずはこれをやること。日本の政治が機能不全に陥るかどうかの試金石だ」 (ロイターニュース 吉川 裕子) 2012年 04月 11日 20:58 JST
海洋機構が調査
2012/3/25 23:27 小サイズに変更 海洋研究開発機構は沖縄県沖の水深1000メートルの海底で掘った熱水噴出口の周囲に、希少金属(レアメタル)を豊富に含んだ硫化物が大量に堆積していることを確認した。勢いよく噴出するため、自然現象に比べて極めて短い期間で積もっていったという。今後、レアメタルなどを効率よく回収できる装置を開発する。 大型探査船「ちきゅう」で2010年9月に沖縄本島の北西約150キロで海底を掘削し、熱水の噴出口を複数設けた。熱水から溶け出した硫化物などが、噴出口の周囲に煙突状にたまった。1年4カ月で高さ11メートルになる硫化物の塊もあった。今回、無人海底探査機を使って一部回収した。 海底の所々に自然にできた噴出口があり熱水が出ているが、噴出量が少なく、高く積もるまで数十年以上はかかる。人工噴出口をつくり短期間でレアメタルなどを回収できる仕組みができれば、海底鉱物資源の有効利用に弾みがつく。 海洋機構は、人工噴出口の影響でできた堆積物から効率的に鉱物を取り出すというアイデアについて特許を出願した。 13年以降の開発を目指す回収装置では、噴出口から熱水を直接持ってきて鉱物を沈殿させる仕組みを採用する。
自動車大手8社が24日、1月の国内生産台数を発表した。前年同月より18.8%増の79万8968台になり、4カ月連続の増加になった。エコカー補助金が復活して国内販売が伸びたのに加え、各社が相次いで新車を投入したためだ。
各社の国内販売が軒並み2ケタ増になったため、国内生産は三菱自動車を除く7社が前年同月を上回った。このうち6社は2ケタ増になった。 富士重工業は1月では過去最高を記録した。ホンダも国内販売が伸びたため、タイ洪水による減産を挽回(ばんかい)しようと、主力工場で1月の休日のうち2日を操業日にした。トヨタ自動車は新型ハイブリッド車のアクアが売れ、1月に1万3485台生産した。 2012年2月24日23時59分
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスで日本国債の格付けを担当するトーマス・バーン氏は24日、東京都内で記者会見し、消費増税と社会保障の一体改革が進まないと日本国債を格下げする可能性が出てくると指摘した。
ムーディーズは日本国債の格付けを昨年8月に1段階引き下げていて、いまの格付けは21段階の上から4番目の「Aa3(ダブルエー・スリー)」にしている。 バーン氏は24日の会見で、一体改革が遅れれば、「長期の財政の安定性に影響が出かねない」と指摘し、格付けの見通しを現在の「安定的」から「弱含み」に下げる可能性があると述べた。「弱含み」に変われば、変更から1年~1年半をめどに国債が格下げされる可能性が高まる。 2012年2月24日23時30分
政府は、銀行などで10年以上お金の出し入れがない「休眠口座」の預金を、東日本大震災の被災地企業の支援策などに使う検討に入った。休眠預金は毎年800億~900億円発生しており、その一部を有効活用するのがねらい。だが、銀行業界は「もともとは顧客のお金。国が使うのはおかしい」と反発している。
金融機関は、最後にお金を出し入れした日や、定期預金の最後の満期日から10年以上放置された預金のうち、預金者と連絡が取れないものなどを「休眠口座」に分類している。 金額は公表していないが、政府の内部資料によると、2007~09年度には毎年、銀行は730億~770億円、信用金庫・信用組合・労働金庫は計100億円強の休眠預金が発生している。農協やゆうちょ銀行も含めると、さらに増える。 2012年2月15日3時3分
長期金利の低位安定が続いている。欧州不安からマネーが安全資産とされる日本国債に流れ込んでいるためだが、将来の反転上昇を警戒する見方は少なくない。
そんななかで財務省が神経をとがらせているのが国債利払い費の「ボーナス」の喪失だ。 金利が中長期的に低下傾向にあるとき、国債の利払い費は次第に減少する。高金利の過去の国債を金利が低い国債に借り換えるためで、この効果をボーナスと呼ぶ。 2000年以降は、1990年代に発行された高金利の国債が相次いで低金利の国債に借り換えられた。例えば、02年度に償還期限を迎えた10年物国債は金利が5%強だったのに対し、新発国債の平均金利は1%台半ば。借り換えで3%強分の利払い費が減った。 だが、長期金利が下げ止まり、10年度に償還された国債と新発国債との金利差はわずか0.5%前後に縮小。今後はボーナスに期待できないどころか、長期金利の反転上昇で利払い費が大幅に増える可能性がある。 ニッセイ基礎研究所は長期金利が2.5%まで上昇すれば、20年度には利払い費が23兆円を超えると試算する。10年度の利払い費は約7.9兆円であり、それだけで約15兆円の追加財源が必要になる計算だ。 90年代からの20年間で国債残高は4倍に膨らんだ。金利低下のボーナスは利払い費の急増を抑える緩衝材になったといえる。だが長期金利が反転すれば、今度は金利上昇のオーナス(重荷)が財政悪化に拍車をかけかねない。利払い費が急速に増えていくからだ。 経常収支の赤字転落も予想されるなか、国債の消化を国内だけに頼るのは難しい。海外勢が日本政府の財政運営を危ぶんだ結果、長期金利が本格的な上昇に転じ、国債の利払い費が一気に膨張する――。そんなシナリオも否定しきれない。 (中島裕介) 2012/2/9 22:27
【東京】世界で最大規模の輸出国家のひとつが勢いを失っている。
数十年にわたり、日本は製造業の力と輸出に主眼を置いた貿易政策によって、世界中の市場に自動車や家電、セミコンダクターなどの雨を降らせてきた。 だが、その時代も終わった。 日本政府は25日、1980年以来初めてとなる貿易赤字(通年ベース)を発表すると予想されている。仮に円高が続き、世界経済も弱いままであれば、日本は向こう数年間、貿易赤字を抱えることになるとエコノミストらは警告している。 この驚くべき変化は、工場を破損させ、サプライチェーンを寸断し、この国の原子力発電所の多くを待機状態にした、昨年3月の地震と津波によって一部もたらされた。しかし、輸出大国日本が年金生活者の国へとゆっくり変化していくなかで、企業の競争力低下のような、長年にわたり水面下で進行してきた傾向を、地震はただ速めただけのようだ。 生産部門を海外へ移す日本企業は増え続けている。森精機製作所の森雅彦社長は「転換期ですね」と言う。同社は今年、1948年の創業以来、海外初となる工場を米カリフォルニア州デイビスに開く。5年以内に同社が製造する機械の40%程度を海外で生産したい意向だ。 かつて日本は世界中の国を自分たちの勢いに従わせていたが、今、この島国は自身のコントロールが及ばない強い国際圧力によって大きく影響を受けている。中国やブラジルといった新興国の急激な成長が、カメラや携帯電話、また自動車などの製造に必要な石油・ガスからレアアースなど輸入品すべての価格を吊り上げてきた。森氏によると、レアアースの価格高騰が森精機で必要なモーターに使われている磁石のコストを2倍にしたという。 日本の国内製造業の沈滞は貿易統計に反映されている。2011年1月から11月までの貿易赤字は2兆3000億円となった。2010年は通年で6兆6000億円の黒字だった。アナリストらは11月までの赤字を相殺するほど大きな黒字が12月の統計に計上されるのは不可能だとしている。 「大きなトレンドとしてこのままでは貿易赤字になっていく傾向にあることを否定はしない」と、枝野幸男経産相はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで述べた。 日銀出身でクレディ・スイス証券のチーフ・エコノミストを務める白川浩道氏は、日本が昨年同様、今年も貿易赤字を記録すると予想している。同氏によると、円が対ドルで歴史的な高値水準を維持し、エネルギー価格が高く、外需が比較的弱い限り、黒字に戻る可能性はほとんどないという。 こうしたなか、日銀は24日、2011年度の実質国内総生産(GDP)伸び率の予想を従来の前年度比プラス0.3%からマイナス0.4%に下方修正した。日銀は、海外経済の減速や円高が引き続き景気の重しになっているとしている。 これは日本にとって不吉な展開だ。仮に貿易赤字が続けば、日本は安定した債権国から純債務国に転じる可能性がある。日本は、経済規模に対する比率で比べると、すでにイタリアよりも大きな債務負担を抱えており、将来、債務問題が一段と深刻化しかねない。円は現在、天空をつくような高水準にあるが、日本が貿易赤字を続ければ、やがて円も下落する。弱い円は日本の製造業を下支えするものの、輸入への依存度を高めつつある経済に打撃を与えることになる。 第二次大戦後の数十年間、日本は輸出主導の成長路線を維持し、この国のリーダーたちが「日本の奇跡」と呼ぶ驚くべき富の創造を達成した。1981年には日本車が米国市場を席巻し、米国政府は日本の自動車メーカーに対し、「自発的に」輸出を制限するよう圧力をかけ始めた。その直後、米国は日本が世界市場で半導体をダンピング(不当廉売)していると非難した。 日本の輸出攻勢を抑え込むための国際な取り組みの一環として、米国と欧州主要国および日本は1985年にプラザ合意を結んだ。これは、合意がなされたニューヨーク市内のプラザホテルから名づけられたものだが、主要通貨に対する円の価値を高め、世界市場で日本製品の価格競争力を抑えようとするものだった。この合意を受けて、1985年に1ドル239円だった円は、88年には1ドル128円にまで上昇した。 しかし、巨大な日本の貿易黒字を縮小させるという期待された効果を得ることはできなかった。日本の金融当局が経済への影響を軽減しようと、安い資金を市場にあふれさせたためだ。結果、資産バブルが日本経済と金融市場に大きなひずみを生じさせ、その崩壊が20年に及ぶスタグネーションの土台を作った。米国は中国の人民元に対して同様の圧力をかけているが、中国側は、プラザ合意のトラウマが、米国の圧力に応じることを躊躇させる大きな理由であると指摘している。 ここ数年、日本の製造業は中国や韓国といったライバルたちに後れをとっている。これらの国の製品は、日本製品と同様の品質だが、より低コストで作られている。デロイト・トウシュ・トーマツと米国競争力委員会によって2010年に実施された、世界の製造企業トップらを対象にした調査では、向こう数年間、日本は高齢化と国内生産のコスト高により、製造業の競争力において、引き続き新興国や米国の後塵を拝することになると予想されている。 海外での競争激化は、トヨタ自動車やソニーといった日本の巨大メーカーが海外で生産する商品の価格に下げ圧力をかける一方、円高が利益の補てんをさらに困難にしている。 日本の原子力発電を事実上ストップさせることになった福島第1原子力発電所の事故も、エネルギーコストを押し上げている。 福島原発を運営する東京電力は先週、大口契約の法人を対象に平均17%、電気料金を引き上げると発表した。世論が停止中の原発の再稼働に反対するなか、高コストの石油への依存度が高まっていることを理由に挙げている。電気料金の値上げは1980年以来のことだ。 ほかの電力会社も原発再稼働は難しいとみている。日本政府は、1年前には日本の電力供給の約30%をまかなっていた原子力発電所が、電力需要の多い夏にすべて停止すると警告し、強制的な供給管理か計画停電の実施を示唆している。製造業者はこれに備えて、準備をしている最中だ。たとえば森精機は西日本の工場で節電対策を準備中だ。 災害は、長年の間に起ってきた日本経済の変化を速めただけにすぎないと指摘する向きもある。「これは成熟化の過程」だと日本貿易振興機構の石毛博行理事長は述べた。石毛理事長は1951年に輸出を振興するために同機構は設立されたが、やがて日本への投資を奨励し、また海外への移管を希望する中小企業のカウンセリング業務を担うように変化していったという。 日本は依然として、自動車から内視鏡まで世界市場の大きなシェアを握る安定した企業を持つ豊かな国だ。日本の輸出を縮小させている要因のいくつかは一時的なものである。たとえば欧米経済の低迷による需要減や、ドルやユーロに対する歴史的な円高などだ。円が弱くなれば、日本の製造業にとって有利に働くだろう。 また、財務省によると、外貨準備と米国債のような対外投資を合わせると、日本は251兆円の対外純資産を持つ。これは世界最大規模だ。 「トレンドとして貿易収支が赤字になるのは確実。でも、経常収支が黒字を保っていれば問題ない。経済が成熟してくるにつれてそうなるのは(貿易赤字になるのは)当然」と、元財務省官僚の榊原英資氏は述べた。経常収支はその国の貯蓄と投資の差を表し、財・サービスの取引や投資収益などの収支を示す。経常収支が赤字であれば、国内の投資が外資によって賄われているということだ。 人口が高齢化し、長期にわたる景気の低迷が、好景気のときに倹約家の日本人が貯めてきた多額の現金を減らしつつあるなかで、日本の貿易収支に構造的な弱体化が起こってきた。これは将来、日本が遅かれ早かれ、約1000兆円の債務返済に問題を抱えることになるとの不安をかきたてる。 森精機では、いくつかの不可抗力が輸出を押し下げ、輸入を増やしているという。トヨタ本社近くに工場を構える同社は、自動車から航空機まであらゆる製品の製造に必要な旋盤やフライス盤などを作っている。同社は日本製の部品を使い、依然として製品の98%を日本で生産している。 昨年の地震と津波で東北地方の工場が被災したため、いくつかの部品が手に入りにくくなり、国内の供給に頼っていたビジネスが裏目に出てしまった。 さらに悪いことには、森精機は約15億ドルある売り上げの65%を海外で得ているが、円高で大きな打撃を受けた。 森社長は、1ドル80円を超える円高なら(現在のレートは約77円)、米国向け製品は米国で製造したほうが安上がりだという。昨年、森社長はカリフォルニア州に工場を建てることを決めた。最終的には、製品の約20%を米国で、ほかの20%を欧州で製造したいという。 東京大田区は個人経営の工場で有名だが、ダイヤ精機の諏訪貴子社長も海外に工場を建てることを検討しているという。従業員約30人の同社は、自動車メーカーが使用する精密計器を製作している。諏訪社長によると、日本の大手自動車メーカーは今、工場を海外へ移管しており、新しい工場に備えるための精密計器の注文が増えているという。 だが、この注文が一巡すれば、需要がなくなるのではないかと諏訪社長は心配している。同社長は現在、大田区の中小企業がタイに設けた工業団地へ、同社の製造過程の一部を移管するメリットを検討している。タイであれば、費用対効果の高くない低利益の自動車部品やツールを大量生産できるという。 加えて、今後も円高が進み、国内生産環境が一段と悪化すれば、このような工場は海外での前哨基地としての役割を果たすことができると、諏訪社長はいう。 「もしかしたら円高にすごく振れて、それがずっと長引くかもしれない。デフレと円高にずっと苦しむ可能性がある。そういう場合には日本だけでやっていくのは不可能」だと、諏訪社長は述べた。 記者: PHRED DVORAK And TAKASHI NAKAMICHI 2012年 1月 24日 21:30 JST < 前のページ次のページ >
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